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マイケル・C・ホールの`異形感`は秀逸だった/ヘドウィグ&アングリーインチ/Raminのヘドウィグ見てみたいな

皆様、こんばんは。昨日の午後に無事ワシントンから帰ってきました。成田に迎えにきてもらってそのままラーメン食べに行って、家着いてフロ入って寝てしまって、さっき起きだしたところです。安定の時差ぼけ(笑)。まあ友達に無事着いたよメールやらサンキューメールやらデジカメなくなっちゃったんだけどお部屋に残ってないかなメール(!)とか色々できたんでいいことにします。

しかし本当に楽しかったな。たった10日間だったけどやろうと思ってたことや会いたいひとにはほぼ会えたし。行きたいところにも行けた。美味しい肉や牡蠣、メキシカンからアーミッシュスペシャリティ、(ホンモノの)ピッツア、クラブケーキ。友達が料理してくれたエチオピア料理やポットローストもアメリカ風フュージョンSUSHIも本当に美味しかった。友達の家での夕食の後、ジャズを聴きながらサロンでゆっくりおしゃべりしていると何で私はもうこの街にいないのか、不思議な気分になってしまいましたよ。まあ日本もいいんですけどね、もちろん。でもこの街で築いた人間関係はほんと私にとって宝物だったのでやっぱり残念で仕方ないです。ま、ボスには「ポジションはとっておくから!」とまた言ってもらえたので戻ってこられるように頑張りますわ、ほんと。

さて、今回は観劇目的の旅ではないのでミュージカルは2本だけ。オペラ座ノームさんファントムは決定だったのであとの一本をヘドにするかキャバレーにするかCurious Incident....にするか迷った末、一番好きなヘドウィグに決定。TV「デクスター」に出演中のマイケル・C・ホールが演じるヘドウィグ。マイケルさんは映画「Gamer」(ジェリー主演)に出てたんですが、そのときの彼がとっても印象的だったんですよね。なのでぜひ見てみたかった。つい先日までBoMのオリキャス、アンドリュー・ラネルズが演じてたんだけど彼より断然マイケルさんのほうが見たかったんでラッキーでしたわ。(ゴメン、アンドリュー。でも貴方は素晴らしい役者です。)

もー看板だけでめちゃテンション上がりましたよ。
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開始前からNYパンクロックの雄、テレビジョンの「マーキームーン」とか流れているし、ステージセットはキッチュでラブリーで、もう全てにおいて最高の舞台でしたわ。

ステージドアのマイケルさん。一週間だけアップします。

今回のヘドウィグリバイバルは誰が何と言ってもニール・パトリック・ハリスのもの。演出のマイケル・メイヤーさんがNPHを想定して創り上げたからこれはもう仕方ないと思う。でもマイケルさんはよかったよ。ヘドウィグの「異形感」がしっかり出ていたから。

90年代にオフでやってたときもちろん見ていて、その頃は私も多少若かったし、中高生時代に洗礼を受けた70年代のパンクロック/ニューウェーヴ音楽も聞いていた。だからほんっとに好きだったんですよね、ヘドウィグ。ちょうど「RENT」も始まった頃で(だよね?)80年代末から90年始めにかけて住んでいたSOHOでの日々やジョナサン・ラーソンが働いていたMoondance Diner(ここね→ http://en.wikipedia.org/wiki/Moondance_Diner)に通っていた頃のことを思い出したりして私的にWOWな日々でした。

で、今回リバイバルになると聞いて、何と言っても主演がセレブNPHだし、マイケル・メイヤーさん演出だし、あの場末感とかはなくなっちゃうのかな、と心配だったんだけどそんなん一切無用でした。ポイントは2014年ふうの場末感ねw。これはもうNPHしか出せない、そう思いましたわ。ええ、見ていないんですけど(血涙)。ものすごく楽しみにしていて神棚にチケ置いてたんだけど(うそ)まさかの病気で急遽帰国する羽目になって。ま、ルックスや歌的にはマイケルさんでかなり満足だったし、その「場末感」も充分堪能できたのでいいんですが、冒頭のトークNPHがどんなふうにしたのかが知りたかったなあ。マイケルさんは基本的に全編に渡ってNPHの踏襲をしているように見えた(彼自身の考えで動いているように見えなかったところがあったので)けど今後は変っていくような気がします。なんでかというと

演技レベルが高い!

のです。ま、それは当たり前。彼は「キャバレー」のEmceeもやってるし「シカゴ」のビリー・フリンも。さらにシェークスピア役者だったとのこと。デラコルテにも出てたので過去に何回も見ているはず。例によって覚えてませんけどww。

あと素晴らしかったのはイツハーク役のレナ・ホール。去年キンキーブーツに出てたときも光ってたけど今回の彼女はほんといい。トニー賞受賞も納得。映画のイツハークとは全然違う役回りだけども彼女がいなかったらこの舞台、ここまで良くならなかったんじゃないかな。NPHやアンドリュー、マイケルみたいな大物と共演してても全く見劣りしないどころか、ケミストリーも抜群。素顔も可愛いし頑張って欲しい女優さんです。

さてマイケルヘドウィグの「異形感」。ヘドウィグっていうキャラクターはひと言で括ると男にも女にも属さない「異形」。この2014年という時代には色んな犠牲やパワーのお陰で色んな選択肢というかAlternativeが存在しているので(建前上は)異形ではないけれど、でもやっぱりヘドウィグは異形なのだ、誰がなんと言っても。例えば誰かのものに、どこか素晴らしいバンドに属したくて頑張るのに、どこにも属することができない可哀想なヘドウィグ。純粋で才能があって一生懸命生きているのに全然うまくいかない。ヒステリックになっても地団駄踏んでもものごとはうまく運ばない。でも愛されている。ここんとこが本当に上手いのだ。ラブリーさにはNPHには負けるだろうけどマイケルさんは身体がNPHより男性的にできてるので女性になりたかった男性の「異形感」がより出ているように思った。あと冒頭のトークね。これがまた秀逸。英語がもっとわかったらもっと面白かったんだろうけどそれでも。

閑話休題。ワシントンの友人の家に猫がいるんだけど名前がへディだった。由来はヘドウィグ。彼女はウエストコーストインテレクチュアルに所属するひとだしミュージカルでなくオペラのひとなので
たぶんこの作品のことは知らない。ドイツ人の名前からとったのよ、と説明してくれたので偶然なんだろう。でも元雄猫で名前がへディっていうのは私的にかなりツボだった。

ヘドウィグは旧東ドイツからアメリカにやってきた。あの時代はそれだけでも「異形感」は強かっただろう。このストーリーはジョン・キャメロン・ミッチェルが創ったフィクションだけどもリアリティを強く感じる。きっと同じようなひとがニューヨークという街にはいっぱいいたはずだ。どこにも属することができないひとたち。でも愛されている。その「異形感」も含めて。

ヘドウィグのラスト、ヘドウィグに手をとられてイツハークが舞台に登場した途端、Belascoは大盛り上がりだった。もの凄い拍手と歓声。総スタオベ。これはやっぱりニューヨークならではの舞台。そしてニューヨークに絶対存在していて欲しい舞台。いつまで続くかわからないけどまたBelascoに戻ってきたい。そしてまた新たなヘドウィグが見たい。老け目ならトニー・シェルダン。若めならラミーンはどうだろう。NY滞在中のオリヴァー・ソーントンでもいい。新たなキャスティングが楽しみだ。