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Gypsy ・感想/イメルダさんは本当に凄いです

2015年4月6日、今回の渡英初日に観劇したのは、イメルダ・スタウトン主演、StrandのSavoy Theatreで上演されているGypsyです。私が見たのはプレビュー公演、今日4/15が正式のオープンです。2012年のマイケル・ボールさんとのSweeney Toddと同じ演出家の手による作品で、同様にチチェスターからトランスファーされました。
Sweeneyと同じソンドハイム氏がこちらでは作詞を手掛けた作品で、先日も作者自らGypsy、CliseumのSweeney、パイショップのSweeneyと連続してご覧になったそうです。

(以下私の見たGypsyの感想を書きましたが、あくまでも個人の感想ですので、その点ご考慮お願いします。
また少しもネタバレNGという方は、ご覧にならないでくださいね。)


私は前から2列目左端で見たのですが、この劇場は前列はほぼ舞台と同じ幅に席が出来ているので、
鋭角で観にくいということもなく、手前には花道もあります。こじんまりとして手が届きそうなところで、自分達のためだけにショーが行われているような贅沢感を味わえる劇場ですね。

イメルダさんは登場するだけで、存在感が違います。舞台上に出てきた瞬間に、スポットライトが当たるのではなく、劇場中の光を自らに集めてしまう特別な吸引力がある感じです。
スウィーニーの時もそうでしたが、今回は一人座長、まさにイメルダ劇場そのものといった感じでしょうか。実際イメルダさんにこれほど熱心な男性ファンが多くいらっしゃるとは、失礼ながら考えたことがありませんでした。彼女への拍手、特に一幕最後のソロナンバーを歌い終えた瞬間にスタンディングオベーションされた方々がみな立派な紳士だったのにはちょっとビックリでした。

全体から受ける印象は大人の為の作品だなという感じです。出演者にも当然若い方はいますが、さだ過ぎた熟年の恋や人生の哀しみに光が当たっているので、むしろ日頃光り輝いているはずの若者より、イメルダさん演じるMomma RoseやHerbieのほうが鮮明に見えます。ララさん演じるLouiseですら物語の大半でとても地味な存在なのですから。

見どころはなんといっても一幕最後のEverything's Coming Up Rosesと二幕最後のRose's Tuneです。
特にRose's Tuneは瞬きも忘れてイメルダさんに見入って、同時に涙が後から後から湧き上がって止まらなくなりました。客席でごくりと唾を飲む人がいたら、その音が聞こえてしまうのではないかと思うくらいの集中力で皆が見つめる中、曲が終わってもしばらく拍手が鳴りやむことはありませんでした。
そしてラストのLouiseと二人で舞台奥へと去っていく後ろ姿は、本当に美しかったです。

イメルダ劇場とは言っても、もちろん彼女一人が素晴らしかったわけではありません。
たくさんの見どころや聞きどころはあると思うのですが、そのいくつか、私の印象に残った点を書きます。

まずララ・パルヴァーさん。とても美しくてゴージャスな方ですが、物語の中盤まで本当に冴えない、地味なLouiseそのものです。うっかりすると彼女が演じていることを忘れそうになるくらい。それだけにジプシー・ローズ・リーとして開花する場面では、一気にさなぎが蝶に生まれ変わるような変貌を遂げるのですが、私が見たプレビュー段階ではまだ遠慮がちに見えました。せっかくの美しさがもったいないので、今後公演が続く中でもっともっと大きく開花させて欲しいな。二幕終盤でLet Me Entertain Youを歌い踊る姿は、やせっぽっちのLouiseとは似ても似つかない豊満な肢体でしたが、太ももに大きな青あざが出来ていたのが、かわいいというか、一生懸命に頑張っている裏側を垣間見てしまったようで、とても愛おしくなってしまいました。

そしてこれまた愛おしい存在は、バーレスクのストリッパー達。とっくに峠を超えてしまったオバ様ストリッパー達がおなかのタルミを隠そうともせずに歌い踊る姿の勇ましいこと。これね、ビリー・エリオットウィルキンソン先生やビリーのおばあちゃん役の女優さんを見た時にも思ったのですが、年を取ってしわになったりたるんだりしたことを出す勇気というか、それによって全体がとってもリアルになるんですね。何も語らず潔いくらいに元気に歌い踊るストリッパー達の過去がすべて伝わってくるようでした。

あとおまけで衣装。とくにイメルダさんの衣装がとてもいいです。身体につかず離れずのフィット感と柔らかさで、体の線をとてもきれいに見せてくれる。若いスタイルの良い女優さんがぴちっとした格好をしているのは良いですが、熟年女性が美しくみえるちょっとクラシカルなデザインは私たち(私と同世代の方ね)にもとても参考になります。

Savoy Theatreで上演されることもこの作品を観るうえで良かったことでしょう。オールドファッションで丁度良いサイズ。ショーの場面やMomma Roseの独唱など、劇中というより本当にその場に自分がいるような不思議な気持ちにさせてくれました。

そうそう、これも書いておかなきゃ。
幕間や終演後、あちらからもこちらからも、Gypsyのテーマの口笛や鼻歌が聞こえてきたこと。
皆さん心からこのミュージカルを楽しんでいらっしゃるのが伝わって来て、私までうれしくなりました。
私は口笛は吹けないので、心の中でハミングしながら劇場を後にしました。

イメージ 1

cast:
Imelda Staunton as Momma Rose
Lara Pulver as Louise
Peter Davison as Herbie
Gemma Sutton as June
Dan Burton as Tulsa

Gypsyのfacebookでスチール写真が見られます