今日も明日もJOJさんとか色々と

ジョン・オーウェン=ジョーンズさんをLove&Watchしてます。その他のネタも多し。

ENO Sweeney Todd ・感想(4)/ JOJさんのPirelliは最高だったけど、出演時間は最短!

さあ、いよいよPirelliです。
(JOJさんだけ物語にそってじっくりと書きます(笑))
一幕最初に全員整列で一度出てきたJOJさん、物語開始後30分以上経ってやっと登場です。

舞台前列ではピレリの助手トバイアスがこれさえあれば抜け毛とはおさらば、とPirelli印の魔法薬を宣伝しています。スウィーニーとMrsラヴェットが手に取ってみると、それはどうやらオ○ッコにインクで色をつけたインチキ薬。バレそうになったまさにその時、中列の舞台中央に黒いマントを翻しながらピレリが入って来ます。

そして開口一番高らかに、

I am Adolfo Pirelli,
Da king of da barbers, da barber of king, (da=the でアイルランド訛りってことらしい)

いろいろな点でファントムを思い出すのは私だけかなぁ。
まず、NYのピレリはこの黒マント、ただ両端を首の所で結んだだけだったのですが、JOJピレリはおしゃれな留飾りで前を止めたちゃんとしたハーフマントになっています。
でもってこれを外して、髭剃り対決のシーンではお客の首に巻くのですが、これをまるでファントムがPOTOの歌の途中で翻したように、マントさばきも美しく翻すんですよ。(キャー!)
おまけに私的最終日にはいつもより2回も多く回してくれちゃって、偶然だけど(笑)。
そもそもこの歌だって、ずっと出番待ちしていた挙句、出るといきなり最高レベルで歌い上げるって、ファントムでやってたものね。その前にテンション上げるために#musicoftonightと称してヘビメタ曲をiPodでガンガンに聞いていたっけ。
と、一人で盛り上るのは置いておいて。

素晴らしい歌声で歌い終わってピレリは前列舞台中央に出てきます。
おしゃれなイタリア人に成りすましている設定なので、小指を立てたり、立ち方もちょっと膝を内股気味にひねってカッコつけてポーズ、で会場大爆笑です。そこでスウィーニーに5ポンド賭けての髭剃り対決を持ちかけられるのですが、

Sweeney:Ready?

(ここからピレリは腕のストレッチ、あごと頭をもって首のストレッチ、脚の裏側と、脛の前側の筋肉もオーバーアクションで伸ばして、やっと)

Pirelli:Ready. (巻き舌で)

で、また気取りまくってシェービングクリームなど練ったり、歌いながら余裕たっぷりで髭を剃ったりしている間に、目にも留まらぬ速さで仕上げたスウィーニーが勝ってしまいます。

気取りまくったオーバーアクションをしながらのパワー全開の歌唱、ものの一分もたたないうちに額には汗が光ってきます。この曲のラスト、

It take-a da graaaaaace... (グレェェェェェェェェィッス!!)

と歌いあげた時は額の生え際から顔に向かって、首の付け根も、見る見るうち血が上ってピンク色になるのが見えました。
(最前列特権!)
対決に負けて渋々5ポンド払ったピレリは、腹いせにトバイアスを小突いたり、一度などは後ろから蹴飛ばしながら(ここはアドリブありだったのかしら?)袖にはけていきます。

ここまでピレリの舞台滞在時間わずか5~6分(!)

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パイショップの中、ピレリがトバイアスを連れて入ってきます。
またまた気取りまくってイタリア訛りでMrsラヴェットに挨拶して、一人スウィーニーの床屋へ。

そこで今までの気取った陽気なイタリア人風の仮面を外し、付け髭を取り、生来のアイルランド訛り全開で、

Call me Danny. (私にもわかるほどの凄い訛り! 客席大爆笑)

自分がスウィーニーの過去を知っていることを告げ、この前の5ポンドだけではなく、今後の口止め料を要求するのですが、もうきれいさっぱりイタリア訛りは消え失せ、さっきまでの小指も、気取ったポーズもなしで小悪党のアイルランド人に。
特に観劇3日目はこのコミカルさの消え方がきっぱりしていて、もはや少しも笑えない感じまでダークになっていました。(この日は前にも言いましたが、少しづつ色々な所で手直しが入ったのかもと思いました。)
すっかり勝った気で、気分よく歌い上げたその瞬間、スウィーニーの剃刀の犠牲者第一号に。
首を見事に掻っ切られたJOJさん、いえピレリは3回痙攣して息絶える、という小技を最後に舞台から消えます。

2度目の登場シーンここまで。舞台滞在時間約2分、くらいかな^^;

JOJさん登場シーンは本編ではなんと10分にも満たないんですよー。
二幕なんかは全く登場しませんから、そりゃ、死んじゃっているんですから当然ですが、アンサンブルより誰より出番短いです。私が舞台にくぎ付けになっている頃に、こんな事しているんですから...

イメージ 1
          舞台袖から撮ったスウィーニーとMrsラヴェットのツーショ by JOJ



それだけにこのたった数分間で観客の中に強烈な印象を残すこの役って、実に力量が問われる役なんだろうなぁ。もちろんただの小悪党の一人としてあっさり忘れられても、それはそれなんだろうけども、私の中にも、もちろんこの劇場内のお客さんの反応からも、そして劇評を見ても、しっかりと心に残るピレリを作り上げたJOJさんは、

やっぱり凄かった~~~。

身びいきではありませんが、まあそれもあるけれども、ピレリの登場シーンが少ないことは最初から分かっていたことなので、それにしてはこれだけの満足感というか、充実感が残るJOJさんのピレリに、本当に来てよかったなというのが正直な感想です。登場最初から私が見たことのあるJOJさん(ファントムやJOJさん自身)の片鱗も感じさせない、歩き方からしぐさ、顔の表情まで、きっちり作りこまれたピレリ。他のキャストがマラソンランナーならJOJさんの役は単距離ランナー。時間は短くても相当の集中力と緊張感が要求されるんだろうな。
SDで会ったJOJさんからは、ファントムの時もそうだったけど、コンサートとミュージカルの舞台、体力的にはどちらもそれなりに大変だと思うけれど、精神的な負担はやはり舞台の方がずっと大きいのかも、と思いました。


おまけ:
ピレリのビジュアル---これ途中に挟むと話題がぼけるのでおまけで。
2000年のSweeneyコンサートでもピレリを演じたJOJさん、以前の写真では口と顎におヒゲをたくわえた、とてもカッコいい伊達男のピレリでしたが、今回はクルクル巻き毛の金髪のカツラを付け、口元にはいかにもインチキ臭い細めの口髭、黒ビロードのジャケットに青いサテン調のベストとタイ、と以前より現代風のカッコ良い衣装、のはずなんだけどJOJピレリが着るとどうにも成金趣味に見えるな。同じ衣装でもNYのピレリはそこそこカッコ良く見えました。こんなにコミカルに作りこんでいなかったしね。でもあっちのピレリは印象薄かったので、やりすぎくらいの方がオイシイ役ってことですね(笑)。
パンツはチャコールグレイのストレッチ素材の細めのもの。これはピレリのコミカルさを足さばきでも表現していたので、よく見えるようにかもしれませんね。この格好で小気味よく動かないといけないので、やっぱり少しダイエットは必要だったかもしれません(笑)。
マントは黒で裏地は赤いサテンv
(続く・・・多分、まとめ書きます^^)

イメージ 2
  ENO image Gallerey

イメージ 3
             ENOのfacebookより

イメージ 4
Brynさんのtwitterより





cast:
weeney Todd :   Bryn Terfel
Mrs Lovett :         Emma Thompson
Anthony Hope :     Matthew Seadon-Young
Johanna Barker :  Katie Hall
Judge Turpin :      Philip Quast
Tobias Ragg :       Jack North
Beadle Bamford :  Alex Gaumond
Beggar Woman  :   Rosalie Craig
Pirelli  :        John Owen-Jones