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EVITA 来日公演 7/26 2018 at シアターOrb 感想

ちょっと時間が経ってしまいましたが、7月に来日公演があったEVITAの感想を書いておこうと思います。
一回だけの観劇だったので、本当にザクッとした感想、特に心に残ったところだけ書き留めるという感じですが。


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プログラムの最終ページにあったEmmaさんの肖像画風写真にサインを頂きました。まさにEVITA(笑)。




EVITAといえば、かつて劇団四季版で久野綾希子さんが演じられたのを見たのが、もう美しくて、ただぼっと見ていたという記憶があります。その時から大好きな作品でした。
次に見た映画版はマドンナのエヴァがかっこよくて、私のエビータのイメージが焼きなおされちゃった!若い時はやっぱりシンデレラのようなイメージというか、ちょっとロマンチックに見てしまった部分もあると思うんですが、さすがに大人になって、愛や政治、女の生き方を冷静な目で見られるようになった、というのもあるかな。生々しいというか、混沌としているというか。

WEに行くようになって、やはり一度は本場の生の舞台を観てみたいと思っていたのですが、WE公演も、ツアーも、あこがれのMadalena Albertoさん(Les Mis 25th Tourのファンテーヌ)のEVITAとは縁がなく、もう見られないかなと思っていたのですが、なんと来日公演でEVITAが来てくれました。

インターナショナルツアーということで、南アフリカのプロダクションですが、チェ役は日本公演限定でRamin Karimlooさん。Raminさんは、Prince of Broadway日本公演では観たけども、あれはショー要素が強かったしね。だから2012年のWEのValjean以来の公演通しての演じるRaminさんを観られたのは嬉しかったです。


Raminさんのチェ役というのは、彼のバルジャンやファントムをご覧になった方からすると、出ずっぱりだから長時間見られるけど、ちょっと役不足と思われる方もあったかもですが、でも私は、このチェの役も、さすがだなあと思いました。
Raminさんは、やはりこのツアーキャストの中では突出していました。きっとオーラ全開にしたら彼だけに目が集中しちゃう力を持っていると思います。でもこのチェってとても曖昧な役でしょう?心が入りすぎても、冷めすぎてもいけないし、いくつもの役を併せ持っている、なんか掴みどころのない役。そこがRaminさんはとても良かった。出ずっぱりでも群衆から突出したり、スーッと群衆に紛れたり、自在にオーラを使い分けるというかね。例えて言えば、エヴィータはじめ他のキャストとは違うレイヤーに乗っているというのかしら。(Photoshopとかイメージしてみて^^)だから常にエヴィータや群衆と重なって見えるけど、決して混じり合うことはなくて。これって多分誰にでもできることではないんじゃないかな? Raminさんだからこそできる、って部分を見せてもらったのじゃないかな。
そしてオーラもだけど、彼だけほぼ全てのセリフと歌詞が聞き取れました。たとえ葉巻くわえていてもw 私の場合英語力があるというわけではないので、逆にここは余計に感じるところなのかもしれないですが、基本的だけど重要なところで、実際誰でもできているわけでもないと思う。普通の感想ではないと思うけど、もっとちゃんとご覧になった方の感想は多分たくさんあると思うので、あえて私が書くとしたら、この部分だよなと思って書いておきます。あらためて素晴らしい俳優さんだなと思ったので。




そしてなんとエヴァ役が2015年にWEのLes Miserablesを観た時に、アンダーのエポニーヌだったEmma Kingstonさんでした!実はLes Misを観た時は、目的のひとつがCarrie Hope Fletcherさんのエポを見ることで、彼女でないと知った時の落胆は大きかったのですが、実際にEmmaさんが舞台に出てこられた途端に、もうそのことは忘れてしまったくらい、素晴らしいエポでした。その彼女が、今度は主役を張っての来日ですから、これもご縁ね~と思って、楽しみでしょうがありませんでした(笑)。

彼女はアルゼンチンにルーツを持っていて、EVITAのオーディションでは歌唱ビデオだけで、ALW、ティム・ライス、ハロルド・プリンスのお歴々がGoサイン出したそうなので、もうこの役を演じるために生まれて来たといってもいいかもしれないですね。日本公演が始まってからも、ご覧になった方の彼女への評価はどんどん上がっていっていたし。

彼女のエヴァは想像以上に、泥臭いというか、民衆の底力的なイメージの強い雰囲気で始まっていました。歌声も力強くてのびのびとしていて、力いっぱいのエヴァそのもので、本当に素晴らしかったです。それがみるみるうちに磨き上げられていく。それと同時に自分がのし上がっていくことだけを考えていたような雰囲気から、国や国民の事を考えるようになっていって、純白のドレスを着て歌う、最初のDon’t Cry for Me Argentina。これはもうエヴィータとアルゼンチンの結婚という風に見えました。彼女はある意味でこの時ペロンとではなく、アルゼンチン国民と結婚したんでしょう。この時からエマさんの顔がどんどん変わって、まるでエビータそのもののようになってきたのには驚きました。

You Mast Love Meはこのミュージカルが出来た時にはなくて、映画版で作曲された曲で、それが後にミュージカルの方に挿入されたのですが、私はここで描かれているのは、見た目の聖女エビータじゃなくて、素のエビータなんじゃないかと思いました。エマさんはここで大統領夫人の威厳を見せるのではなく、優雅に両足を揃えて美しいポーズをするように立つのでもなく、両足をやや開いて、大地を踏みしめるように立っていました。劇の最初のエヴァ・ドゥアルテの時と変わらない泥臭い感じというか。彼女の内面を表していたと思います。私は何も変わっていない、とでもいうように。

Don’t Cry for Me Argentina 2回目、こちらは歌詞同様、まさにエビータが死に行く間際の気持ちを表していたようでした。実に涙なくして見れなかったです。子供を残して逝く母のようで。


今回来日公演を見て、思っていた以上にあの時代、まして当時のアルゼンチンは現代からは遠くなってしまったように感じました。ある意味でこの作品はクラシックになったかなと思ったくらいでしたが、逆にエヴァという女性を描く上では、一つのイメージに縛られない感じになったのかなとも。EVITAが、聖女でも悪女でもない、一人の女性として描かれているように見えたから。

そうそう、Mistress役のIsabella Janeさんの事も一言だけ。
まだ19歳と若い南アフリカ出身の女優さんで、Mistressとしての出番はワンシーンですが、彼女が歌うAnother Suitcase in Another Hallは透明感のある美しい声が素晴らしい曲をさらに際立たせていました。これはいつも思うけれど、年齢相応の美しさ、実際の年齢がほぼ役通りの彼女が歌うことに、意味があるように見えました。でもその年齢でこの役をつかむということが大変なことだと思うけども。



おまけの感想ですが、字幕について

字幕は、私はこの日は前から7列目でしたが、それでも距離的に辛かったです。舞台左右の字幕を見ていたら、演技を見逃す感じ。それと日本語字幕はありがたいけれど、日本語読みながら、英語のセリフを聞いても、字幕がない時に比べたら、全く頭に入ってこないですね。(私だけ?)だから結局内容を頭に入れて俳優さんのセリフ、つまり英語でわかるようにするか、字幕を読むことに徹して、一階なら少し後ろか2階最前列の席をとる方がいいのかもしれないです。去年ウェールズでJOJさんの舞台を見た時に、英語字幕の回があったのですが、これが一番ありがたかったですねえ。 そうは言っても、来日公演で英語字幕付き上演って無理だろうけどね(笑)。





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