WEに行くようになって、やはり一度は本場の生の舞台を観てみたいと思っていたのですが、WE公演も、ツアーも、あこがれのMadalena Albertoさん(Les Mis 25th Tourのファンテーヌ)のEVITAとは縁がなく、もう見られないかなと思っていたのですが、なんと来日公演でEVITAが来てくれました。
インターナショナルツアーということで、南アフリカのプロダクションですが、チェ役は日本公演限定でRamin Karimlooさん。Raminさんは、Prince of Broadway日本公演では観たけども、あれはショー要素が強かったしね。だから2012年のWEのValjean以来の公演通しての演じるRaminさんを観られたのは嬉しかったです。
彼女のエヴァは想像以上に、泥臭いというか、民衆の底力的なイメージの強い雰囲気で始まっていました。歌声も力強くてのびのびとしていて、力いっぱいのエヴァそのもので、本当に素晴らしかったです。それがみるみるうちに磨き上げられていく。それと同時に自分がのし上がっていくことだけを考えていたような雰囲気から、国や国民の事を考えるようになっていって、純白のドレスを着て歌う、最初のDon’t Cry for Me Argentina。これはもうエヴィータとアルゼンチンの結婚という風に見えました。彼女はある意味でこの時ペロンとではなく、アルゼンチン国民と結婚したんでしょう。この時からエマさんの顔がどんどん変わって、まるでエビータそのもののようになってきたのには驚きました。
You Mast Love Meはこのミュージカルが出来た時にはなくて、映画版で作曲された曲で、それが後にミュージカルの方に挿入されたのですが、私はここで描かれているのは、見た目の聖女エビータじゃなくて、素のエビータなんじゃないかと思いました。エマさんはここで大統領夫人の威厳を見せるのではなく、優雅に両足を揃えて美しいポーズをするように立つのでもなく、両足をやや開いて、大地を踏みしめるように立っていました。劇の最初のエヴァ・ドゥアルテの時と変わらない泥臭い感じというか。彼女の内面を表していたと思います。私は何も変わっていない、とでもいうように。
Don’t Cry for Me Argentina 2回目、こちらは歌詞同様、まさにエビータが死に行く間際の気持ちを表していたようでした。実に涙なくして見れなかったです。子供を残して逝く母のようで。
まだ19歳と若い南アフリカ出身の女優さんで、Mistressとしての出番はワンシーンですが、彼女が歌うAnother Suitcase in Another Hallは透明感のある美しい声が素晴らしい曲をさらに際立たせていました。これはいつも思うけれど、年齢相応の美しさ、実際の年齢がほぼ役通りの彼女が歌うことに、意味があるように見えました。でもその年齢でこの役をつかむということが大変なことだと思うけども。