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What can I say about 「RENT」?/「RENT」新演出を観ました

基本的に舞台を観た感想というのは、とても個人的なものだと思っている。評論だの、レポートだのを仕事にしている人間じゃないので、そんなの当たり前のことなんだけど。でもインターネットというメディアに載せてしまうと不特定のひとがそれを見る機会が出てくるので、これから作品を見ようとする人に余計な先入観を与えてしまう可能性がある。観劇の機会を積み上げてて確かな眼を養ってるひとなら別だが、私は違うのでできるだけそんなことはしたくない。もちろんここはネットの片隅の小さなブログなのでそこまで神経質になる必要はないだろうが。まあそんなわけで否定的にならざるを得ないものを観てしまった時は何もいわずただスルーしておこう、と思っていた。
 
でも今回はやっぱり書く。現在オフブロードウェイで上演中の「RENT」。もの凄く好きな作品でMYミュージカルベスト3(同率でLNDとプリシラ)にあげてたけどもうやめる。がっかりした。洗練されて、振り付けもかっこよくなって、よりセンシュアルにして、万人受けをねらったんだろうけど、これダメ。ジョナサン・ラーソンが描いたオリジナルの世界が踏みにじられている、と私は感じた。もちろん1980年代末期のNYと現代のNYは全く違う。会場もシックできれいで、お洒落な「New World Stages」だ。でも「RENT」だよ。あの作品の舞台にはほど遠いでしょ、この場所は。あくまでも個人的にだが、たとえ不完全であってもあの荒削りなオリジナル版のままで復活してほしかった。
 
オリジナルを観てないひとはこれでもいいのだろうか。でも違和感を持っていたひとも多かったと思う。実際そうなのだ。「Glee」かよ、と思うような現代的な振り付けと背景に使われるいかにもNY的にお洒落なスクリーン、彼らの住むロフトのセッティングもオカネモチのコドモがわざとアーティスト風にしているとしか思えない。生きていくことへの切実さが見えない。そこにいかにも80年代的なエイズをわずらう行き場のないビンボーな恋人たち(ゲイ、レズビアン、ストレートそれぞれ1組づつ)の物語をあてはめようとしてもやっぱり無理なんだろう。私の前の席の年配のカップルはミミが公園で死にかけてたのを運ばれてきたシーンで失笑していた。(早く生き返りすぎだよ)。ロジャーだってとてもエイズを患っているようには見えなかったよ。健康的でつるつるきれいな顔してるし。
 
客の入りは7割程度。ここのキャパはたぶん500人ちょっと。カテコは一回のみ。拍手も続かなかった。
 
キャストは次のとおり。モーリーン役のAnnnaleighが突出してました。
Mark      Adam Chanler-Berat
Roger     Matthew Shingledecker
Mimi       Arianda Fernandez
Tom       Nicholas Christopher
Benjamin Ephraim Sykes
Angel      MJ Rodriguez
Joanne    Corbin Reid
Maureen  Annaleigh Ashford
 
もしこの舞台をご覧になってて、感動してた方がいたらごめんさいね。でも私もオリジナル版が物凄く好きだったんですよ。「RENT」は80年代末期のニューヨークの街を象徴する、時代の空気を濃密に感じさせてくれる稀有な作品でした。
 
余談:でもやっぱりニューヨークという街は本当に好きだ。エネルギーに満ちていて、新しいものを作っていってやろう、という若い野心があふれている。でも大人が大きな顔をして暮らしている街。この街で幅を利かせている彼らのなんと魅力的なことか。見えるひとには見える、見えないひとには絶対に見えない場所があるんだよね。