今日も明日もJOJさんとか色々と

ジョン・オーウェン=ジョーンズさんをLove&Watchしてます。その他のネタも多し。

「オペラ座の怪人新演出UKツアー3月13日World Premiere」舞台レポートPart1~オープニングからMusic of the Nightまで~(ネタバレ注意)

2月28日にプリマス、シアターロイヤルで開幕した「オペラ座の怪人新演出ツアー」。3月5日にまず第1回目、そして12日に2回目、昨日13日に3回目を観た(この後14、15日マチソワも入れて計6回の予定)。結論からいうとこれはもう本当に素晴らしい舞台プロダクションになっている。長年のPOTOファンとして本当に嬉しくて涙が出る思い。実を言うとJOJさんは別として演出やセットの変更があまりに多いので、というか楽曲以外完全に違ったものになっているので、初見はとまどったが、回を重ねるごとに感動が深くなり、昨日のワールドプレミア、つまりオフィシャルの初日公演はもうJOJファントムの「Brava・・」が聞こえた途端、全身が震えた。
 
5日と12日、そして昨日。舞台内容全てが同じように進むことはない、つまり日によって演出家の指示が変わっている。これが役者たちにとってどれだけ大変なことか・・。容易には想像できないけどJOJさんが不眠症になったのがわかるような気がする。プレビュー期間中はあれこれ試行錯誤しても許される期間なので、ある意味まだこの舞台の本質を示しているといいがたいかな、と思ったので詳しいレポは控えてきたけど、昨日の公演がいちおうオフィシャルの初日なので今後は大きな変更はないと踏んで、ここで細かいレポートを入れてみることにする。長くなりそうなのでちょっとづつ。楽曲と進行はオリジナルとほぼ変わらない。しかし演出、舞台セット、役者の演技、動きが違う。これはもう驚くほどに。
 
オープニング舞台の写真を数日前の記事に載せたが、オープニングの時点で全く今までのものと違う。蜘蛛の巣を組み込んだ紗幕がかかってて奥の舞台上にはオークションアイテムが並ぶ。LOTナンバーがそれぞれついている。上手にハンニバルの衣装、奥に時計やらいろいろ、中央にオークション台、下手には家具や彫像、籐のボックス、椅子が数脚。シャンデリアは観客席の上に紗幕に包まれた状態で下がっている。RAHの公演で使われたのとほぼデザインは同じだが、小ぶり。「This way Gentlemen!」の声とともにオークショナーが入場。続くゲストたち。舞台上手に車椅子にのったマダム・ジリー、下手に老ラウル。車椅子には乗ってない。ちゃんと歩いてる。今までの演出と違って元気。シック。「ハンニバル」のポスターからオークションが始まる。「悪魔のロベール」も同じ。
 
LOT665でオルゴール。デザインが違う。五角形。蓋があく、メロディとともに赤い服をきた猿が出てくる。「赤」が印象的。この時点でわかる。この舞台は「赤」の色が大きなファクターを占めているということが。
 
LOT666はシャンデリア。オークショナーの口上は同じ。一同シャンデリアを見つめる。観客席にゆっくり降りてくる。例の掛け声とともにシャンデリアから火花が散る。「Overture」が始まる。紗幕が上がり、舞台セットがゆっくり変わっていく。おなじみ「ハンニバル」のシーン。ダンサーたちが出てくる。上手にあったドレスと同じものを着ている。今までよりダンサーの数は少ない。全員がゆっくりとした幻想的な動き。ラウルだけが舞台上に残ったまま佇んでいる。回想シーンを暗示しているのか。
 
ハンニバル」でバックスクリーンが降りてくる。ジャングル風。両脇にバルコニー席が出てくる。セットが頻繁に変わるのがこの舞台の特徴。彫刻部分をよく観るとマリア・ビョルンセンのテイストを踏襲しているのがわかる。ガーゴイルの多用、天使のモチーフ、etc。マリアさんといえばまず最初に連想する「青色」と「光」についてはあとでゆっくり。 
 
カルロッタ登場。衣装はほぼ同じ。ダンサーたちの衣装も豪華になっていて、とても綺麗。しかし踊りや動きの振り付けはかなり違う。ピアンジが台車に乗って登場。壷やら、宝箱やら抱えた女性次々と登場。象は出てこない。男性ダンサー二人が剣を持ち、戦うシーンがかっこいい。
 
下手からムッシュレイエ登場。「No No ROME!」と強調しながら。元気なキャラ。落下物に驚くシーンとか演技が細かくて面白い。このひと要注目。上手にピアノ。支配人ズ登場。HMに比べて老人度高い。恰幅がいい。ダンサーの邪魔してる。煩がられてる。カルロッタぶち切れて、退場。「Think Of Me」までつながる一連の流れは従来と同じ。「コーラスガール」が「バレエガール」になっていたのを除けば。
 
ケイティ・ホールの歌唱はとてもいい。以前観た時よりさらに技術がアップしている。高音部伸びる、伸びる。幕が下りる。上手バルコニー上にいるラウルが猛拍手。サイモン・ベイリーも凄くよい。若くて元気なラウル。RAHのはどラウルを彷彿とさせる。
 
バレエガールズに祝福されるクリスティーヌ。ムッシュレイエの賛辞を受ける。マダムジリーに急かされバレエガールズ退場。クリスひとりになった瞬間、「Brava Brava・・」が聞こえる。そして舞台後ろをファントムがすっと通る。荷物を肩にしょってる作業員姿!帽子(寸胴のなべをひっくり返した感じbyPさん)、汚なシャツ&ベストとエプロン(←私的にじつに重要)。一瞬こちらを振り返るのですぐわかる。
 
そう、基本的にこの演出ではファントムの気配とともに「本人が舞台上にいる」のだ
 
メグ登場。AOM歌う。幕が上がるとクリスティーヌ楽屋。下手に鏡、上手に机や椅子。下手は赤いカーテンがかかっている。上手に出入り口。壁にはチュチュや小物がいろいろ飾ってある。青緑基調の壁紙。下手にバレエガール多数たむろってる。ポーズを決めている。ドガの踊り子を彷彿とさせる。うっとりするような構図が多いのが今回の演出の特徴だけど、このシーンは特にそう思った。
 
マダムジリー登場。手紙渡される。ラウルから。上手からラウル&支配人ズ登場。ラウルは赤いバラを一輪持っている。クリスが鏡の前で白いガウンに着替えてる最中にラウル入ってくる。とまどうクリス。再会を果たす二人。椅子に座るクリスの背後にたつラウル。髪の毛いじってる。肩抱いてる。食事に行こうと誘い、ラウル出て行く。
 
「Things has changed!」とクリス叫んだ瞬間、JOJファントムの「Insolent Boy!」が聞こえる。耳をふさぐクリス。私も卒倒寸前。「I am there、inside!」でファントムが鏡の中に浮かび上がる。鏡が開く(手前側に)。ファントムが手を伸ばす。クリスが導かれていく。短めのマント、タキシード。しかし帽子がない。JOJさん、凄く似合っていたのにな。しかし鬘はウェーヴが入ったブラウン。かっこいい・・。錯覚?ラウルが入ってくる。誰もいない楽屋。床に落ちているバラを拾い「クリスティーヌ!」と叫ぶ。
 
タイトルロールが始まる。今までと違って最初から歌っている。裏側から錆びた鉄っぽい円形の巨大なセットが回転しながら出てくる。上部に通路があって、ランタンを持ったJOJファントムがいる。周りを伺っている。側にはクリスティーヌ。おびえている。「My power over you」でランタンをのけぞるクリスの上で円を描くように動かす。「Glance behind」の若干裏返る感じの-lanceの音と直後のちょっとだけ裏返すbehindといったら・・。この体勢でよくこの声が出るなあ、とひたすら感動。ドアが開く、壁に階段が出てくる。ファントムが先導して二人が降りて来る。下手側にボート。小ぶり。黒のエナメルみたいなゴンドラみたいなボート。先端に炎がともっている。本物。左から右に移動する。ファントムがこいでいるがあっという間。
 
マントをとってボートの中に置くファントム。セットの中央が割れ、中にはファントムのLairが。隠れ家。怪しく、重厚な装飾。ジェリー映画のイメージも彷彿とさせる。上から下がる多数のキャンドル。上手側にファントムのベッド。ここにもガーゴイルの装飾。シルクっぽい美しいテキスタイルがたくさんおいてある。紫、緑、赤・・。後ろのカーテンも深い青、緑、赤。実に幻想的。マリアのテイストであることは間違いない。クリス人形は無し。星のような煌めく光が見える。下手にはファントムのピアノ。燭台にはほんもののキャンドル。本物の火が灯っている。この舞台にはぜったいにこの「光」がひつようなのだ。それはよくわかる。
 
そして「Music of the Night」が始まる。赤い楽譜カバーを手にクリスに訴えかけるファントム。楽譜が溢れたファントムのLair。彼の音楽を創るのに絶対にひつようなのがクリスティーヌ。痛いほどわかる。本当に痛々しいほどに。JOJファントムでしかできないこの歌唱。この声。ああ、これを聴くためならプリマスだろうが、どこだろうが、私は来る。語尾の「t」の響かせ方!(nightとかyetとか)
 
クリスに歌いかけるファントム。なんという歌唱!この声にみるみるうちにクリスがとらわれていくのがよくわかる。「slowly gently・・」で本物のキャンドルが灯った燭台を手に持つ。ベッドに座らされるクリス。「Close your eyes・・」で後ろから黒いリボンで目隠しされるクリスティーヌ。ファントムの「Soar・・」で舞台前方へゆっくり歩いていく。ファントムの小指には指輪がはめられている。
 
「Darkness・・」で目隠しをとるファントム。「Be・・」で眩暈を覚えるクリス、ふたたびベッドへいざなう。座らせる。歌いながら優しく顎を撫でるファントム。「Trust me」で優しく手をとる。燭台を手にクリスを優しくベッドに寝かせる。青いテキスタイルの美しい布をかけてあげるファントム。「Help me make the music of the night」が優しく、長く響く。クリスティーヌの眠りを誘う、甘く優しいJOJファントムの声・・。
 
(続く)