今日も明日もJOJさんとか色々と

ジョン・オーウェン=ジョーンズさんをLove&Watchしてます。その他のネタも多し。

アール・カーペンターさんファントムはとても官能的だった/でもあの爽やかルックス&キャラよ、びっくり!


(3月17日(土)ソワレ終了後のHM劇場ステージドアのアールさん)

ごく最近のアールさん(ファントム顔のみ)

割と最近のアールさん(仮面無し)
http://www.youtube.com/watch?v=oSP_x4BqTC4&feature=related

昔のアールさんファントム(2007年位?)

比較用(余り意味ないけど好きなので^^;):JOJさんファントム

3月16日ソワレ、17日マチソワの3回、アール・カーペンターさんのファントムを観た。感想はツイッターや数日前の記事にもちょっと載せましたが、いやー官能的なファントムでした。16日はクリスティーヌがアンダーのケイティ(ホールじゃないほうね)だったので、その点はいまひとつだったけれど、17日のソフィアのときはもうびっくりするくらい官能的でした。ひとことでいうと谷崎潤一郎先生の小説「Naomi」を彷彿とさせるような感じ。

実を言うと「ファントムが官能的」という概念は今まで余りというかまったく持っていなかった。世界中でいちばん素晴らしいと思っているJOJさん演じるファントムはもちろん(え?)、映画版のGerry、そして多くの人がセクシーだと称するラミンさんファントムですら、ココロの底では「そうかなあ・・」とか思っていた。パーツ的に、たとえば「Gerryドンファンの手」とか「ラミさんファントムがクリスの首に回す手」がセクシーで官能的というのは思いきり納得するけど、本体丸ごとについてはそう思わなかった。私にとってのファントムは常に「哀しい存在」だった。まあ「官能的」という言葉が意味する感覚がほかのかたと私のが少し違っているせいもあるかもしれない。

以下、独断と偏見の(いつもか)アールさんファントム感想:

「Mirror」のシーンから思ったのは実に「素敵なファントム♪」ということ。余りこういう言葉を使いたくないのだが、大人の男の色気があるのだ。クリスに手を差し出し、マントをばっさーと翻しクリスをその手に抱くようにした瞬間から、クリスをじぶんのものにしようとする明確な意思(と確信)が見えた。そこには揺らぎがまったくない。100%頭のてっぺんから足の先まで「オペラ座の怪人」。19世紀の華やかなパリの文化に君臨したオペラ座。その地下に自らの王国をつくり、美しい音楽を創りだしているファントム。磁石のようにひとを引きつける魅力を持っている。今まで色々な劇場でファントムを観てきたけれどアールさんが演じた彼はほかの誰とも違っていた。

アンソ兄さん(アンソニー・ウォルロー)なんかもそうなんだけど、たとえばラミさんやJOJさんが持ちえてる「不完全さが生み出す可愛げ」をまったく感じない。そこに立っているのはまぎれもなく怪人だ。でも怒りも、屈折した思いも内包しているように見えない。全てを自らの奥深くにしまいこんでいる。舞台の上を自信に満ちて動くファントム。彼には一部のすきも感じられない。これはアールさんの身体構造と計算された動きが作り出しているのだが

動き=MOVEMENT。この場合は演技というべきなのか?よくわからない。そう、アールさんのファントムは実によく身体の各パーツが動く。ストプレ俳優ならではの動き?空間移動をしていなくてもそうなのだ。指や腕の位置がまめに動く。演じている。ボートを降りるときにクリスに差し出す手。薬指と小指を掌の内側にきゅっと寄せている。実にきれいな形でクリスの前に差し出している。思わず手に取らずにはいられない、しっかりと握らずにいられないような美しい手のかたち。その胸のなかに引き寄せて欲しいと願ってしまうような。

なぜ彼が自信に満ちているように見えるのか。彼はこの時点で既にクリスティーヌを支配できているという確信があるのだ。なぜなら「せんせい」だから。それを彼じしんがよく知っているから。そういう男の前ではいかに美しくて若くてオカネモチの子爵様すら影が薄くなってしまう。そう、実際にあのビューティフルなキリアンラウルの影が薄かったのだ。JOJファントムのときはまったくそんなことなかったのに。これにはびっくりした。

16日のクリスだったアンダーのケイティは歌唱力はとてもあるし、将来有望なクリスだと思う。しかし演技に余裕がなく歌に手一杯な感じがしたのとわたしは発音が気になった(ウェールズ出身のせいかな。まだ若いし)。アールさんとのケミストリーにおいては17日マチソワで観たソフィアのほうが合っていた。

ソフィアが演じるクリスティーヌ、これで何回目になるだろう。JOJさんと一緒の組み合わせで観たときは本当にがっかりした。以前にも書いたけどまったく愛情が感じられないクリスだったのだ。ラウルにも、ましてやファントムにも。最後の指輪返しシーンに至っては「気に入らないプレゼントをパトロンに突っ返すの図」になっていて「JOJさんに向かってなんてことっ!」としみじみハラが立った(変?)。昨年10月に同じドレスサークルで「JOJ&ソフィア」と「スコット&ケイティ(ホールのほうね)」の組み合わせを2日連続で観た時、観客の受けはスコット&ケイティのほうが断然よかったのだ。スタオベの数もスコット組のほうが多かった。これには愕然とした。じぶんもそう思ったことにも。スコットさんは確かに上手いけれどやはりJOJさんには及ばない。何がちがっていたか。クリスだ。ケイティ・ホールのクリスにはファントムに対する愛情があった。指輪とともにその愛情を涙とともにファントムにおいていく。ファントムはそれを知っていた。万感を込めて叫ぶ「You alone・・」。うう(思い出し泣き)。そりゃ観客だって感動する。

そのソフィアががらりと変わっていた。17日マチネはアッパーサークル2列目中央、ソワレはF列中央で見たけれどどちらも彼女はとてもよかった。なぜか。それはアールせんせいファントムにちゃんと支配されていたから。身体も心も。それが観ているものにちゃんとわかった。

The Mirrorが開く。ファントムが呼ぶ声に引き寄せられるソフィアクリス、ファントムのマントにふわっとつつまれたそのとき彼女の心が躍っているのが見えた。不安より高揚感がまさっている。またこのアールさんの包み方がいいのだ。あくまでもソフトにやさしく。ツアー版のJOJ&ケイティはもちろん最高に好きだが、ケイティは大柄なのでこういう繊細さは感じない。ファントムもJOJさんだし(爆)、直後は塔の上にいるし。HMオリジナルはマント包みのあとがなんといっても最強のろまんちっくセット、ボートとキャンドルである。ぴったりである。

それにしてもアールさん、なんであんなに仮面が似合うんだろ。顔とかJOJさんより大きいのに。そんなに美男子には見えないのに。仮面つけるとすごく素敵だ。素顔よりも(爆)

アールさんの歌唱力。もちろん上手い。種々のパフォーマンスで証明されているし、ジャヴェールでも。3ファントムコンで彼の「STARS」聞いたときは軽くしんだ。しかし他の日の歌唱を聞いた方はそうでもないと仰っていた。私が聞いたマチネはまあまあのレベル、ソワレは最後だったせいかJOJ級だった。なーんだ、いつも全力出してないんだ、と思った。

でもそれより演技!堂々めぐりを繰り返している気がするがほんとうに上手い。中でも秀逸なのがPONRとFinal Lair。これを書いてしまうとすぐ終わっちゃうので(笑)少し引き伸ばすためにMOTN。

「Music of the Night」

もともとこの曲が「オペラ座の怪人」という作品のキモだと思ってきたけど25thラミさん版~JOJ新演出ツアーを見るにいたって、そうではなくてやっぱり「Point of No Return」がキモなんだな、と思うようになった。アールさんファントムでもそれは変らないのだが、彼のMOTNの特徴それは

エロティック、です。

概念ではなく描写として。そう、手が這っているのだ。クリスの身体に。Pさまいわく、ところどころ「身体にめり込んでいた」。映画版のGerryを思い出してもらうと話が早いかもしれない。まさにあんな感じである。ツイッターでちょっと話題になったのだが、じつは新演出のJOJさんファントムは殆どケイティクリスに触れていない。もしかしたら少しは触れているのかもしれないけれど「めり込む」ほど触っていないのは確かだ。オリジナルとは違って「そこはぜったい触るだろ、その場所にあればそうするだろ!どしたJOJ!とか思うシーンでも触れていないのだ。これが演出であるとすれば、はっきり言ってその意図がよくわからない。まあこのことは新演出ツアー舞台レポの続きで書こうと思っているけれど。

話がずれた。好きすぎる、こういうわだい。

新演出のJOJファントムの「Music of the Night」は楽譜を持ってクリスにその愛を求めている。彼自身の創造の源「音楽の天使」としてのクリスティーヌを求めている。しかしアールファントムはそうじゃない。彼はじぶんの中に既に「音楽」を創り上げている。クリスの手助けは要らない。彼に必要なのは彼がその支配下におく、じぶんの「分身」としての存在なのだ。だからこそ彼はその実体を確かめる必要がある。時として強烈なDesireとともに。

「Love Never Dies」を思い出す。あの作品の創り手のかたがたは単純に「このままじゃファントムかわいそう」目線でこのストーリーをつくったのかもしれないけど、「オペラ座の怪人」の大ファンとしてはなんらかの「落としどころ」というか「なんでそんなことになったか」というこじつけがいちおう必要なのである。勝手ないいぶんですみませんけど。昨年10月のロイヤルアルバートホールの公演でもラミシエラがその啓示は見せてくれたけど、あーるさんファントムはもっとクリアだった。私にとっては、ですけど。でもって「Love Never Dies」はそうゆうこと抜きにしても素晴らしいのですけど。