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National Theatre Live in Japan 2019 - King Lear

National Theatre Live - King Lear

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冒頭まずイアン・マッケラン翁のインタビュー。ここ結構大事。その後の四時間の本編を見ながら、全てになるほどと思うことばかり。

ライブビューイングを観る度に、生の舞台で観れたらなと思うけれど、今回はそんなことが頭をよぎる暇もないほど、のめり込んで観ました。撮影はロンドンのPrince Edward Theatreでした。初演のチチェスターの劇場が、マッケラン翁の親密な空間で演じたいとのたって希望で、300席程度だったそうで、ロンドンでも減席して中央に花道のような通路を作り、親密感を増していました。観客全員を舞台の上から見える空間で演じたかったそう。客席からも役者の喉元まで見える距離というかね。

カメラワークが上手いという事かもしれないけれど、その点はスクリーンが大きくない200席の映画館での上映も悪くなかったかも。ありえないほどの顔のドアップじゃなく、ほぼ等身大でリアの目の表情、仕草、息遣いまで見える気がしたから。

水や血糊も多くて、リアル。グロスターが目を潰される(というか・・・)のシーンは、映像でよかったっと思ってしまった。生では正視できなかったかも!

設定や演出は、最近の多くのシェイクスピア作品と同じように、現代に移しているんだけれど、子供の時から知ってるあのリア王、とは全く別物で、リアルで、物凄く納得できました。ただ暗くて、救いがない話だと思ってたんだけどね。いや、やっぱり救いがない上に血生臭くもあるんだけど、どの視点で見るかによって、見え方は色々だなと思わされました。その点は俳優さんの人種、性別、老若、が混在しているからこそ、ということが、もちろん他の作品でも同じ目的なのだろうけど、私にとっては、ここまでハッキリと成功していると感じられたことは初めてだったと思います。

そこ!それ人としてダメでしょ!って事を、やってる側は結構軽く考えていて(色々なハラスメントとかね)でもやられた方は一生忘れない。悪人は山ほど出てくるんだけれど、最初から悪かったのか、と言われたら、そうじゃないかもしれない。例えばリアとグロスター、彼らはある瞬間、その後その運命を辿ったのは然るべきという事をやった。因果応報って言葉が心に残った。

老いた事、老いだけが原因だった訳でもなかったようにも思ったのだけど。
ただ、私自身、ほぼリア王と同年代の母と暮らしていて、色々考えさせられることはあった。ほころびのきっかけを作ったのは、やっぱりリアの老いだったのかな?(あくまでもきっかけだとは思うけれど…)

マッケラン翁は、驚くほどエネルギッシュで、とてもこの時79歳とは思えない程、舞台上でのセリフも動きもあまりに多くて力強くてびっくりする。身じろぎしただけで惹きつけられるし。ほとんど上半身裸に近かったり、濡れたままの演技も、つい心配になっちゃうけど、体力半端ないのねw

例え映像でも四時間近く集中して見るのは大変だろうと思っていましたが、驚くほど短く感じました。どのキャストも素晴らしく、見応えありましたが、何より映像とはいえ、マッケラン翁の舞台を見られる絶好のチャンスなので、ぜひ一人でも多くの方にご覧になって頂きたいなと思いました。

上映は好評につき当初の4/19~4/25から延長されて以下の通り。

ヒューマントラストシネマ渋谷(~5/9)とシネ・リーブル池袋(終映未定)で続映が決定
https://ttcg.jp/movie/0569200.html
吉祥寺オデヲンでも~5/2(木)まで上映
http://cinemaodeon.jp/showing/post-57.html
3時間50分(途中休憩あり)






原題:King Lear
上演劇場:デューク・オブ・ヨークス劇場
収録日:2018/9/27 
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:ジョナサン・マンビィ
出演:イアン・マッケラン
作品概要:シェイクスピアの四大悲劇の一つ。退位にあたり3人の娘の愛情を試した老王リアだったが、長女と次女に裏切られ、国を追われてしまう――。パトリック・スチュアート共演の『誰もいない国』での好演も記憶に新しい名優イアン・マッケランが、NTLiveに再び登場! 圧倒的な演技力と存在感で老王リアが辿る悲しい末路を体現する。演出を手掛けるのは堤真一主演の『民衆の敵』など日本でも活躍するジョナサン・マンビィ。
NTLive公式サイトより




King Lear
Duke of York's Theatre
Directed by Jonathan Munby

CAST:
Ian McKellen    . . . . . . . . . . .    King Lear
Danny Webb    . . . . . . . . . . .    Gloucester
Sinead Cusack   . . . . . . . . . . .    Kent
Lloyd Hutchinson  . . . . . . . . . . .  Fool
Anita-Joy Uwajeh    . . . . . . . . . Cordelia
Claire Price    . . . . . . . . . . .      Goneril
Kirsty Bushell    . . . . . . . . . . .    Regan
Luke Thompson    . . . . . . . . . . .   Edgar
James Corrigan    . . . . . . . . . . .   Edmund
Anthony Howell    . . . . . . . . . . .   Albany
Jake Mann    . . . . . . . . . . .      Burgundy
Daniel Rabin    . . . . . . . . . . .    Cornwall
Micheal Matus . . . . . . . . . . .      Oswald      




I’m so happy to see this brilliant production. Thanks, NT Live!