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Tiger Bay the Musical 11/13 ~ 25 (2) 私的感想

長々とストーリーを書きましたが、やっとここから個人的感想です。全体的感想を述べつつ、出演者ごとの思い出や感じたことを書いていきたいと思います。

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Tiger Bay the Musical

Tiger Bayは誰が主役というよりも、出演者全員が主役、その時代を生きた人々全員が主役という感じの作品でした。ほとんどの時間がアンサンブルに至るまででずっぱりという感じで、ダンスも歌もとても力強くて、とにかく舞台上からパワーをもらい続けているといっても過言でない程の熱い舞台でした。今年1/27にWALES THEATRE AWARDS 2018が発表されました。Tiger Bayは見事 Best Ensemble賞を受賞しましたが、まさにこの賞をもらうにふさわしい作品だったと思います。

舞台はカーディフですが、幕開けのJOJさんのアカペラは不思議な世界へのいざない、続くTiger Bayの厳しい状況は重く泥臭いイメージの歌で。民族のるつぼという場所だったので、登場する歌もダンスもアフリカの太鼓やリズムにのったもの、どこか異国の響きがあって哀愁を帯びていたり、素晴らしいメロディの連続でした。


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(右の写真は本物のビュート候だけど、JOJさんのビュート候も、まさにこのイメージで冒頭のシーンに登場。水晶玉に向かって呪文を唱えるようにアカペラで歌います。美しくて幻想的な声で一気にTiger Bayの世界に引き込まれます。)


インターバルを除いても3時間近い長尺の作品で、キャストの方々も消耗の激しい舞台だったろうと思います。でもそれ以上にこの作品に賭ける想いのようなものが伝わってきました。一人一人がこの作品をよいものにしようという意気込みで取り組んでいるのが伝わってくるというかね。

例えばプレビュー初日は滞りなく過ぎたけどなんとなく手探りの感じ。プレビュー二日目は昨日よりすべての輪郭線がくっきりとしていてたった一日でこんなに違うなんてと思いました。そして翌日がプレスナイト、公式にお披露目の日でしたが、オーバーに聞こえるかもしれないけれど、本当にキャスト一人一人の肩越しにゆらゆらと炎のようなものが見えるようでした。この日は最前列で見ていたので、私まで登場人物と一緒に心揺さぶられ、涙し、最後には言葉もなく隣のご婦人と抱き合ってしまった。本当に素晴らしかったわね~って(笑)

それなのに翌週再度カーディフを訪れ、舞台を観た時はさらにびっくりしました。先週が新酒のさわやかな勢いだとしたら、今週はもう熟成期に入ってるという感じ?新しい作品を作り上げるということは他に替えがたい喜びがあるでしょうね。ちょっと垣間見ただけの私でさえ、こんなにも興奮するんですから。

この作品はこのままウェールズ以外の地で上演されるのは難しいかもしれません。この地独特の歴史的背景は他の地の人に伝わりにくいかもしれないけれど、でも万人向けに角を丸くしてしまったら、この作品である意義のようなものが無くなってしまうと思うし、何よりこの作品の舞台が、今自分が立っているこの地だって言うことが何にもかえがたいと思う。だからこのミュージカルはカーディフの人々の心のよりどころのような作品になってほしいなと思います。そしてまたいつかこのTiger Bayを、ここカーディフで上演してほしいと思いました。その時はぜひまた観に行きたいと思います。

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ここから出演者ごとの感想と思い出を。

Rowena Pryddy   ---   Vikki Bebb
カーディフにあるRoyal Welsh College of Music and Dramaを卒業したばかりの女優さんですが、その小さな身体からは想像できないようなパワフルな声の持ち主。ロウィーナが一人の人間として目覚めるシーンで歌われる「Who I Am」は圧巻で、毎日拍手が鳴りやみませんでした。生き生きとしていて可愛いかった!

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Themba Sibeko--- Dom Hartley-Harris
まだ俳優歴二年くらいの若い俳優さんで、WEではBeautifulに出演。彼はテンバの優しさや強さを本当によく表現していたと思います。彼がテンバそのものと言ってもいいほど印象的で、どこにいても目が吸い寄せられるような俳優さんでした。これって本当に凄いことじゃないかな?また絶対どこかの舞台で見たいと思いました。終演後に初めてお見かけした時に、きちんと目を見てご挨拶して下さったのも好感度大w

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ThembaとSeamus

Seamus O’Rourke   ---   Noel Sullivan
私はこの作品まで知りませんでしたが、若い時はアイドル的な活躍をされていて、最近はRock of AgesWe Will Rock Youなどに出演されている俳優さん。Tiger Bayでは悪役を一手に引き受けていて気の毒でしたが(笑)、カーテンコールで客席からわざとブーイングされるのを楽しんでいるチャーミングな方のようでした。上げ下げの多い、高いキーの難曲を歌わされて、ちょっと厳しいのかなっと思いましたが、一週間後に観た時はすごく自然な感じになっていてさすがと思いました。

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Ianto  --- Louise Harvey  / Ruby Llewelyn
この作品のキーになる役はイアントでしょうね。 男の子の役ということで髪もショートにして、動きも少年そのもので、一瞬女の子とはわからない感じw 歌も演技もとても上手でした。二人は日替わりで出るのですが、ルイーズはきめ細かな演技が印象的。特にビュート候に本当は息子ではないと告白する前、JOJさんが歌っている途中、誰からも注目されないようなタイミングなのに、後ろで事実を告げるべきかどうか悩む演技をしていたんです。これ彼女オリジナルの演技だったんですね。これにはビックリしました。ルビーは歌が素晴らしくて、彼女のいるところが一段明るくなるようなこれまた甲乙つけがたい魅力があって、ウェールズの子役恐るべしといった感じ(笑)。

Marisha / Ensemble --- Suzanne Packer
カーディフ出身の女優さん。彼女の言葉が地元の言葉に一番近いのでしょうが、残念ながら私にはその差まではわからず^^;宿屋のおかみで、みんなの世話役という役どころがピッタリと板についていて、こういう方々がいるおかげで、劇全体に厚みが出るよなあ~と思える女優さんでした。


Klondike Ellie / Ensemble  ---   Busisiwe Ngejane
オペラへの出演が多い方のようですが、彼女の歌の素晴らしいことと言ったら!この劇中の女JOJでした(笑)。悪いやつとは知りながらもハーバーマスターに心底惚れているのに、あくまでも愛人としか扱われない切なさがにじみ出ていました。最後は女同士、ロウィーナを助けるところもカッコいい役w

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Fezile / Ensemble  ---   Luvo Rasemeni
南アフリカ出身の俳優さん。彼が身体を揺するとそのままダンスに、独特の歌い方でアフリカのメロディを、と劇に一味も二味も深い味付けをしていたように思いました。

First Mate / Locke --- Rhidian Marc
WEではJOJさんと一緒にオペラ座にも出ていましたが、彼はウェールズ語も話せて、劇中でも英語が不自由な(!)ウェールズ人の水夫と、ロウィーナが勤める百貨店のオーナーの二役で、大活躍でした。

Arwyn Jenkins --- Ian Virgo
厳しい労働条件に対抗するためにストライキを先導する地元出身のDonkymanの役。骨太で一筋縄ではいかない人物を演じていて、劇の厚みを増していたなあと思いました。初日からラストまでどのシーンでも目を引く演技でした。最終日はおもわず駆け寄ってお礼を言ってしまった(笑)。

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アメリカ人の霊媒師Leonora Piperと Third Marquess of Bute 


John Crichton-Stuart, Third Marquess of Bute   ---   John Owen-Jones

メインキャラクターの中で唯一の実在の人物。カーディフの市街に銅像があり、地名や通りに名前が残るほど有名な人物。前半生は12ヶ国語を話し心理学や心霊術、占星術等にも造詣が深く、カーディフ城やキャッスル・コッホなど今に伝わる素晴らしいデザインを残したけど、どちらかといえば引きこもり体質。でもカソリックに改宗したのをきっかけに、後半生はカーディフ市長になって人々のために尽くし、特に女子の教育を支援したそう。そこから亡くなった恋人やイアントとの出会いなどフィクションを織り込んで、このストーリーの中に再生したんですね。

その人を演じつつその人自身ではないというのは、体現するのが難しいような気がしますが、JOJさんは、とにかく見たまんまズバリ、ビュート三世ジョン・クライトン=ステュアートになることですべての人にその人であることを認めさせてしまったんでしょうね。カーディフ城内にある肖像画を見て、「ああこの方そのものだ」、「何という説得力だろう」と思いました。

ビュート候は主要人物の一人ですが、主役というわけではないです。前半では特に亡くなった恋人と息子を探すことにしか生き甲斐を見出せない状態なので、塔の上から降りることもしません。それがイアントに出会ったことで、Tiger Bayの街で人々と触れあうようになると、舞台のあちらこちらに侯爵の姿があります。侯爵が入ってくると舞台上の皆がさっと居住まいを正して道をあける。客席の地元の人々もその人とわかる。そういう存在感といい意味での緊張感が備わっていたと思いました。JOJさんは名実共に舞台全体を見守り、引き締める父親のような役どころという感じかな。JOJさんご自身も、自分の事よりキャスト全員が日々良くなってるっていうことを、とても喜んでいらしたしね。

 冒頭のアカペラは文句なく素晴らしく、本当はもっと歌っていてほしかった(笑)。続いてAct1では亡き恋人を思って歌う「Mary」がすべての思いがそこに集約されているようで圧巻でした。実力派の俳優さんが揃っているにもかかわらず、桁違いのパワーとレベルを見せ付けられるというかね。Act2でイアントに出会う場面では、二人のやりとりがもう楽しくて、微笑ましくて。掛け合いのような歌「My Name is John」は、Carefulと言ったのを地元の地名Caerphilly(カーフィリー)と聞き違えたり、恋人の名字がJonesだったりするたびに客席から笑い声が上がっていました。ここがとっても良かったって言ったらJOJさんもニコニコだったので、ご自分でも気に入ってるシーンだったのかな?劇中何度か歌われる「Now I've Seen the Light」はJOJさんの声の柔らかい感じが生きていて、とてもよかったです。もう一度聞きたいなあ…。

Soundcloudで一部聞くことが出来ます。
Medley - Tiger Bay the Musical


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最終日のカーテンコール

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Tiger Bayプログラムより


あとは雑感というか、Tiger Bayを観に行った私の思い出話のようなものでシメようかなと思います。というわけで、(3)に続く^^