今日も明日もJOJさんとか色々と

ジョン・オーウェン=ジョーンズさんをLove&Watchしてます。その他のネタも多し。

Thinking of 「Love Never Dies」/音楽自身が物語を語る作品だった

「Love Never Dies」は本日8月27日が千秋楽。予定より早くぶった切られてクローズ。この作品がこんな扱いを受けるなんて信じがたいけど本当の話。お昼のツイッターでお仲間の皆さまと散々話した(書いた?)気がするのでここではただひと言だけ書く!何故この素晴らしい作品がこんな終わり方をしなくてはいけないのか。なぜ同日に終わる「Chicago」は11月にはまた劇場を変えて戻ってくるのに「Love Never Dies」の現プロダクションは今日で終わりなのか。この素晴らしいパフォーマンスを記憶するDVDすら残さないのか。
 
ひと言じゃ終わりませんでした(汗)。なので続けます。
 
原因はいろいろ言われてるけど打ち切りに至った理由はたったひとつお客が入らなかったこと。それだけ!確かに詞もストーリーも不完全だったかもしれない。でも「Love Never Dies」は「音楽自身が物語を語ることのできる稀有な作品」だったのだ。勿論私の勝手な思い込みで、そしてそんなことはふつうおきないのだが、初演キャストにRaminとSierraという確かな才能を持つ歌い手を配したことでそれが可能になった。素晴らしいパフォーマンス。でも客は入らなかった。なぜ?じぶんの眼・耳で見ようとするひとたちを十分に喚起できなかったから。原因はいくつかある。そのひとつはメディアやネットに溢れたLND批判。プロの手によるものはほんの少し。あとはぜんぶ素人評論家の手によるもの。安くはないチケット代とたくさんはない観劇の機会。そんな情報がネットで簡単に手に入るこの時代にそんなものばかり目立ってしまったら、お客はアデルフィ劇場に足は運ばない。「レ・ミゼラブル」と「オペラ座の怪人」のチケットを買いに走る。
 
一度舞台を観れば、多少ミュージカルをわかるひとならきっとわかっただろう。Ramin、Tam、Davidを始めとしたキャストの歌唱の素晴らしさを。歌詞がチャラかろうが、ストーリーに無理があろうが、彼らの歌にココロを打たれるはずだ。もちろん人間だから調子の良し悪しはある。でも観る目のあるミューファンなら絶対にわかるはずだ。この作品の持つ強烈な魅力を。
 
ミュージカルは歌詞がいちばん大事という説。それは正しいのだろう。でも時には音楽自身が言葉を持ってしまうという、稀有なこともおきる。音楽自身が物語を語ってしまう。「Love Never Dies」はそんな作品だった。少なくとも私には。本当に大好きだったのだ。あのチャラい歌詞がついてたってラミンが、シエラが、タムが唄えばもうそれで感動的だった。音楽が圧倒的な力を持つ作品の前には歌詞がどーのこーのなんてたいした意味は持たない。大体LNDの生の舞台を見ているとき同時に歌詞のチャラさにあきれていたひとっているの?あの圧倒的な歌唱を聞きながら「歌詞つまんねーよ」とか考えてたひとが?
 
ロンドンプロダクションはもう二度と観る事ができない。それはもういい。でも私はブロードウェイでこの作品を観たい。そもそも作品のモチーフになっているのがコニーアイランドなのだ。スノッブな英国人はきっとお嫌いであろう軽薄アメリカの象徴のひとつ。舞台がコニーと聞いただけで行かなかったひとだってたぶんいるだろう。でもニューヨークならきっといる。そしてBWで上演するにはこのプロダクションよりメルボルン版のほうが絶対によい。あのセットのほうがコニーアイランドのモチーフを明確に表現できているから。BWの客はああいうのが好きだから大げさなセットを組んでうんと宣伝すればいい。軽薄だろうがなんだろうが、いいのだ!ミュージカルにはそんな楽しみ方だってあるのだから。そして作品がヒットしてキャスト(ここは絶対RaminとSierraじゃなきゃダメ)に大きな賛辞が送られれば、再び彼らの歌唱が聞ければ、それでいい。
 
たとえ作品として優れていても、どんなに感動してもショウビズの世界に所属している以上、客を集められなかったら早々にお終い!あとに残るのは観客の思い出だけ。それがミュージカルの世界。そのすぐ後に新しい作品が出てきて、観客はまた感動する。前にみた作品の感動なんて薄れていってしまう。終わってしまった作品は忘れられ埋れてしまい、いつしか知るひともいなくなってしまう。
 
「Love Never Dies」は断じてそんなふうになるべき作品じゃない。軽薄でも大仰でも何でもいいから豪華なセットとキャストを揃えてBWで上演して、大勢のファンを集めて、感動させて、ミュージカル史にその名を残して欲しい。RaminとSierraの名前はLNDの初演キャストとして10年後もその名前が語られて欲しい。ココロからそう思う。そしていつかあの「サンセットブルーバード」のように形を変えてWEに戻っていけばいい。そんな形のLNDを愛するひとはきっといるだろうから。
 
何年かかってもいいから私は待つ。「Love Never Dies」は絶対BWで上演すべき作品だ。以前にも書いたけどこういったタイプの作品を好きなひとってニューヨークには必ずいる。いつか誰かが眼をつけて再び表舞台に出てくるはず。そのときが来るまで絶対忘れない。ロンドンキャストたちの名演があったことを。彼らの歌唱に心から感動したことを。
 
追1)今日のアデルフィ劇場にはアンドリュー・ロイド・ウェーバー。そしてピーター・カリー(だよね?)も来ていたらしい。ふーん。最後のラミンたちのパフォーマンス見て何か思うことはあったのかしら・・。
 
追2)じぶん的に「Love Never Dies」に関する最後のコメントなのでここに残しときます。Sさまとのおしゃべりの続き
(8/31/2011)
もうそろそろLNDの話は終わりにしたいと思いつつ・・
確かに突然の上演打ち切りはBWでもあります。ショウビズの世界である以上、それは当然ついて回ると思います。最近では「Catch Me if You Can」が来年3月までの予定が変更になって9月中旬位で終わりになりますし過去、オープニングから1週間位で終わっちゃった、なんていうのもいくつもありました。駄作はそういう運命になるのは仕方ないです、勿論!

でも私はLNDはそういうぞんざいな扱いを受けるような作品だとは到底思えないです。というかあの楽曲の素晴らしさとキャストのパフォーマンスは最高の尊敬を受けるべきレベルだと思ってました。あくまでも私見ですけどね。だから全く納得できなかったし今回一番ショックだったのはそのぞんざいな扱われ方です。もう観ることができないということ以上にそこが本当にショックでした。

繰り返しになりますが確かにLNDは歌詞のチャラさとPOTOの続編という前提に縛られたことでストーリーに無理があります。私も最初はナンじゃ?と思いました。でもそれを補うに余りある大きな魅力があったんです。大好きでした、本当に。
 
たった4回しか観ていなくて、なぜここまでLNDに惚れ込んでしまったのかじぶんでも大変不思議なのですけど、何かがっつり嵌るポイントがあったのだと思います。じぶんのブログでも書きましたけどここまで嵌ってしまうと逆にしょっちゅう観たいという気が余りなくなってしまうので次は半年後くらいに見られればいいな、なんて思ってたのですが結局これはかなわずに終わりました。

無理をして楽日に行くことも考えましたが、たとえ行ったとしても最高の感動を眼の前にすることができても結局のところ虚しさが残るだけなのはわかってましたし、ならばSさまやJさまの素晴らしいレポートを拝見しているほうが絶対にいいな、と思ったので早々と諦めました。それは全く後悔してません。

来年の3月にはいよいよJOJさんがファントム楽になりますけどこれはココロ安らかに迎えられる気がしてます。オペラ座は変わらず上演されるし今度は違うJOJさんの舞台が観られる楽しみがありますから!
ということで長々とすみませんでした。これを以ってLNDについて語らせていただくのは終わりにしますね。ありがとうございました!