今日も明日もJOJさんとか色々と

ジョン・オーウェン=ジョーンズさんをLove&Watchしてます。その他のネタも多し。

英ナショナルシアター「フランケンシュタイン」は超絶凄い!

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ただいまニューヨーク時間は午前9時20分。昨日の晴天からうって変わった雨模様です。ちょっとさむい。昨日はニューヨーク大学演劇学部(Center for Performing Arts)のSkidallホールで英ナショナルシアターLive「フランケンシュタイン」の舞台映像上映を見てきました。15時からベネディクト・カンバーバッチが「The Creature」を演じたVer.で19時からジョニー・リー・ミラーがThe Creatureやったぶん。これもうほんとに凄かったです。

この二人がヴィクター・フランケンシュタインとThe Creature要するにヴィクターが創り出した「The Creature=創造物=彼」を交互に演じるわけですけど、まあこの舞台が大絶賛されたのはもう当然ですね。英国演劇の果てしない底深さがよーーーーくわかりました。映像でこれだけ感動したのですから生舞台はどんなに凄かったことでしょう・・

極めて個人的な意見ですが、生の舞台を見ない限りその作品についてあれこれ語る資格はない、と私は思ってます。映像や情報だけじゃその作品の真価は決して伝わらないから。ごく当たり前のことですよね。しかしこれは語らせていただきます。いまのところ再演の予定は全くないらいしこの映像自体も再上映の予定もないそうです。加えて私が見たのはニューヨーク大学の演劇学部のホールでの上映。ここは舞台も上演されるし、音響その他も非常にレベルが高いVenueです。上映が終わったら舞台と同じように拍手とスタオベが起きましたし、生舞台には及ばないまでもかなり近いレベルまで行ってたと思います。ああ、こんなふうに日本でもどこでもいつでもこんな素晴らしい舞台を上映してくれたらどんなに嬉しいことか。。
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 ここんとこあれこれ忙しくて、というよりPCに長時間向かっているのも限度があって、あの「The Book of Mormon」もそのままほっぽってますが、フランケンシュタインは現在のところ再演の予定もないし、映像上映もそうそう見られないのでぜったいここに残しとかないとダメだ。と決意したので今日は雨のことだし、午前中はこれに専念することにする。
 
あ、その前にJOJさん情報。「好きな動物はカメレオン」だそうです。ツマンナすぎ?すみません。でもツイでファンに聞かれてそう答えてました。個人的にはその歪みかた?に惚れました。ふつう言わないよね、カメレオンとかって。ふつうはくまとか、こぐまとか、ほっきょくぐまとかよね(爆)。まあいいですけど。しかし私、あの手のどうぶつはちょっとトラウマなんですよね。10年くらい前にメキシコのCancunに行ったとき、コズメルという島にダイビングにいったんですよね。そこはもう海が美しくて本当に素晴らしい場所なんですけど、ビーチでお昼ねしてたらいつのまにか隣にイグアナが来てたという。で、寝返り打ったときにモロに眼があってしまいました、イグアナと。イグアナと見詰め合う女ってどうなの?これかなりやばかったです。文字通り青ざめましたよ。ウチの夫はアトランタに住んでいたとき、いつのまにか機材庫に進入していたオポッサム(巨大なモルモットみたいでちょっと見はかわいい。でも尻尾がねずみなの(震))が彼のカメラバッグに入りこんでて鼻歌歌いながらバッグ開けたとたん、オポッサムに牙向かれて絶叫した過去があります^^;。どうぶつ系にはちょっと恵まれない我が家ですが愛犬コーギーは超美人です(ぜんぜん関係ない)。
 
で、「フランケンシュタイン」舞台レポ(になるかしら(疑)
 
上映前:B・カンバーバッチとJ・L・ミラーの稽古シーン。D・ボイル監督の指導のもとに動きの研究。二人とも十分鍛え上げられている。続いて脚本家と監督のインタビューシーン、主演二人の簡単なコメントも。ドレスリハーサルを映したあと、本編舞台のスタート
 
オープニング。円形の舞台。前方に板の通路がせり出している。中央に卵型のバルーンのようなものがあり中にいる 'The Creature'のシルエットが見える。ベネディクト・カンバーバッチは「手(*これはヴィクターとの関係性を示す重要なツールでもある)」を表面に押し付けてそのシルエット浮びあがらせている、ジョニー・リー・ミラーは横向きで立った姿のまま。鼓動を思わせる音響。そして表面のシート破って外に出てくる。「The Crature」の誕生。生まれたての赤ちゃんみたいにもがいている。でもその姿形は醜いモンスター。全身に縫い目があり、血にまみれている。腰に布を巻きつけただけの姿。脳からの指令が肢体にいきわたっていない状態。手足も上手く動かせない。歩けない。うなりながら這っているだけ。徐々に動けるようになってきて、ついには歩けるようになる。喜びの叫びをあげながらぐるぐる走りまわるThe Creature=「彼」。
 
 

カンバーバッチのアプローチ:言葉は適切じゃないかもしれないが肢体麻痺の状態に近い。これが全て演技ということに驚愕。手首が内側に折れ曲がっている状態。足指が痙攣している状態。手首足首がそれぞれ違う方向を向いている。それで匍匐前進するのだ。涎を流しながら。
 
ジョニー・リー・ミラーのアプローチ:カンバーバッチほど肢体の不自由さは感じない。しかしうつぶせのまま両ふくらはぎを痙攣させたり(どうやるの?)もする。動きにより愛すべき無垢さを感じる。痙攣する足の指を口にくわえてみたり(身体柔らかすぎ!)。走れるようになったときの喜び方を見ていると微笑ましくなる。
 
閃光&強烈なロック音楽とともにいきなりLocomotiveが登場する。機関車(らしきもの)。シルクハットの男たちが8-10人くらい乗っている。この辺りがとってもダニー・ボイル監督らしい演出。

男たちに蹂躙される女性(たぶんProstitute)。舞台奥からThe Creatureがヨロヨロと歩いてくる。驚き逃げる男たち。女性が感謝の意を伝えようとするが彼のあまりの奇怪な姿に恐れを為して逃げてしまう。男たちに打たれ、嫌われるCreature=「彼」。

世明け。朝日が昇っている。地を這う「彼」。草が生えている。口に入れてみる。まずい。吐き出してしまう。この部分、カンバーバッチは実際に口の中に入れて咀嚼していた(驚)。
 
ヨロヨロしながら、路上で鉄鍋を火にかけて料理している二人組のところに駆け寄る彼。恐れを成して逃げる二人組。鍋に入ったお肉(たぶんウサギ)を恐る恐る木杓子ですくって食べる彼。おなかすいちゃったんだよね・・。熱い!うなりながら思わず木杓子を落としてしまう。でも美味しかったのでがつがつ食べる。二人組みが戻ってきて、再び殴る蹴るの暴行を彼に加え、去っていく。痛めつけられ、蹂躙されることしか知らない「彼」。

若夫婦とその父親で住む小さな家。畑をたがやし、森で狩をして暮らす一家。貧しいけど幸せそうな家族。若夫婦は盲目の父親に食事を用意して仕事に出かけていく。妻のお腹には新しい命も宿っている。父親が一人でいる家にふらふらと侵入していく「彼」。

盲目の父親は彼の姿が見えない。お腹がすいていた彼はテーブルの上に用意されていた料理をがつがつ食べる。言葉をしゃべれない「彼」に優しく接する父親。目が見えないので手で触って見る父親は彼の頭を触り、優しく問いかける。「なぜこんなことに。かわいそうに・・」

外のベンチで並んで語り合う二人。雪が降ってくる。「彼」は両手を上げ、大喜びではしゃぎまわる。このときの「彼」の表情。そう、生まれたての子供と同じ、そのココロは純粋さと無垢に彩られている。
 
これは「Snow」そして「White」。彼に優しく教える。不自由ながらも一生懸命リピートして言葉を覚える「彼」
このときにカンバーバッチの演技!ジョニーの表情!言葉を尽くしても表現するのはムリ。全編を通してこの二人の身体能力の高さに驚くのだけどこのシーン、家の外のベンチに老父親と並んで座るカンバーバッチはベンチの上に横向きで膝を折った体制で話しているのだけど台詞をしゃべりながら、そのままの体制で飛び降りて次の瞬間正面を向いて座っている。これって。。。びっくりしてしまった。
 
「わーい、わーい、雪だ、雪だ」とはしゃぎ回る彼。優しく見守る老父親。そしてもうひとつ言葉を教える。
 
「Paradise = パラダイス(楽園)」とアダムとイヴの物語を。そして問いかける。「What is LOVE?」
 
若夫婦が帰ってくる。思いがけずよい獲物が得られて幸せを感じている。「きっと神様が遣わしてくれた身も心も美しい誰かのお陰!そのひとに向けてお礼を言いましょう。」そしておなかの子供の存在を夫に知らせる、このうえない幸福な時間。そこには確かな愛が存在している。

(続く)

私的なKey Words:
生んでくれと頼んだ覚えはない。でも生まれてきたからには何が何でも生き抜いてやる。
「じぶんは醜い。でもずっと美を夢見てきた(I dreamed of Beauty)」
「楽園」はもうないんだ。「いや、自分はアダムになる、だからイブをつくってくれ。」
「愛が欲しい、一緒に生きてくれるパートナーが欲しい」
「You must be destroyed」「Yes, destroy me」
WHAT IS LOVE???
VictorがCreatureの手とじぶんのそれを比べるシーン。類似性をそこに見ている。
JLミラーのCreatureがVictorに向かって叫ぶ。じぶんはアナタの愛が欲しかっただけだ。あなたが行くところならどこでもついていく(Anywhere you go, I go)
アナタは彼に生命を与えたの?そうだ、じぶんは科学者だから。違うわ、アナタはただ神様になりたかったのよ。
無垢でイノセントな状態で誕生した彼はじぶんが受けたように他人に接することしかできない。暴力を受ければ、暴力で返すことしかできない。